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人形愛のトラウマ

2005/02/23

ネット オークションで逃した魚(人形)はあまりに大きかった!

最近のお気に入り、アンティーク雑貨を扱う某出品者のオークションで、美しいレースドールに思わず心を奪われてしまった。
私にとって人形はつくるもので、コレクションするものではない。ブリュ等、喉から手が出る程欲しい人形は現実的な値段ではないから御縁を待つこともない。
レースドールはポーセレンゆえに意識下にあるといった程度だっだが、その気品に満ち溢れたロココの貴婦人に悩殺されて、3日3晩、画像を眺めながらオークション最終日を迎えた。
人形はスカートの端レースが少々欠けていたので、かなり良心的な希望落札価格が付けられていたのだが、結局見送った。最後まで悶々とオークションの進行を眺め、人手に渡るのを見守った。
 ところがオークション終了後まもなく、商品説明ではドレスデン窯とされていた人形が、助言を仰いでいた業界の知人から、実はマイセン窯のものだったとメールをもらい愕然とし(否、予感的中か)噎び泣いた。メーカーの名で真価をはかり、購入に踏み切るのは自慢できる行為ではないが、画像数枚で物の価値を判断するのは素人には難しい。いろいろと物入りな創作業、趣味の買い物はせめて展示会のディスプレイで使用できる小道具類と決めているので、人形はこれにあてはまらない贅沢品だ。でも目下、私のテーマはロココである!ビンゴ!この道楽を誰かに後押ししてもらいたかった。だが時すでに遅し。ああ、時間を巻き戻すことが出来たら。

そんな私の人形遍歴は結構惨じめである。
学部時代の貧乏観光旅行、フランスのデパートの玩具売り場で見初めたエロイーズの人形はトラウマだ。
半透明の樹脂製で、潤んだ描き目、鼻にそばかす、中世風に編み込んだブロンドの髪・・・20世紀初頭の乙女の姿だった。欲しかった! だが僅かな小遣いでアンティークのビスクドールを入手する夢があったので、今後の出会いにかけて諦めざるを得なかったのだ。結局予算不足で粗悪なレプリカを買って帰国した。数年後、自分が見たエロイーズと同タイプの人形を東京の人形店で偶然目にしたが、あの時ほどの魅力はなく、値段は4倍もしていた。
以後、フランスで遭ったエロイーズの人形は、長い間私の創作の理想像となった。華やぎと憂いを持ち合わせた表情は、まるでミレイやウォーターハウスの絵画がら抜け出したようだった。
 きっと所有出来なかったから私は彼女に憧れ、創作人形を始め、今もつくり続けることが出来るのだ。手元にないから理想を大きく持てるのだ。ここに人形がいない事を感謝するべきなのだ!・・・と何度となく自分に言い聞かせた。

そしてまたやってしまった。今回はポーセレン フィギュア!
100年前のマイセンの逸品。マドンナの横顔。流麗な詩や音楽で語られる、その繊細なたたずまい。etc.etc.

この悔しさをバネに、よりよい人形を私は自力でつくらなきゃである。
(涙、涙)私はつくって鬱憤を晴らすけど・・・
皆さんにむかって叫びたい。雑念なく人形のオーラを信じましょうぞー!






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