イノセンス
2004/03/24
一昨日、映画イノセンスをみて来ました。
美しかった! 二回続けてみてしまいました。
帰途、ネオンがまぶしい雨の歌舞伎町が、映画の余韻を増幅したというより、まさにマトリックスに迷い込んだような、ほろ酔いの気分でした。
私にとって人形制作は、多分皆様が勘繰るほど根深い意識から成るものではありません。仮に静物画的に人物を描く事と、どれほどの違いがありますやら。
ピアノを弾いたり、植物を育てたり。とにかく渾身の力で理想を現実に近づける。
それでいて気負い無く、自然体で続けられる表現手段が、たまたま私の場合は人形だったのです。
人体を模すのに、イデアに基づく根拠が必要でしょうか?
イノセンスをみて、私自身の気分次第で成されるがままの人形たちが妙に愛しくなるのと同時に、無意識に厄介なモノを生んでいたのではという懸念が初めて頭を過りました。感慨深い内容でした。
それにしても時々感じることなのですが・・・全般に日本のアニメーションは人物の表情が画一的で乏しいように思えませんか?
私が携わる人形表現に於いては言わずもがなですが、動画であれば、より豊かな感情表現が可能ではないかと思えるのです。
戦闘シーンをあれ程スピーディーに抜き差しできるのなら、キャラクターそれぞれの所作にもっと気を配れるのではないかとも。
感情的な描写を、人物の顔つきではなく、背景や音響で演出しているところが大きく、そのうち台詞が暴走するのではないかと胸騒ぎが。(爆)その辺りは、人形の見せ方と類似するものがあるのでは?
~等等、畑違いの戯言ですが、イノセンスでは、その表情の固さが、人間と人形の境界線を曖昧にしていて、いい意味で無気味であり、凄みになっていると感じました。これは狙いなのかしら?
ともあれ最先端の芸術に触れさせてもらった事を感謝感激しつつ、気持ちが豊かになる一方で、あまりにちっぽけな自分を腑甲斐無く思い、一時、頭はポカ~ンで手は留守になっています。
でも、立ち止まって物思いにふける時期はもう過ぎました。
私にできる事はまだまだあるはずと信じて、とにかく創作を続けなくてはね!
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