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予知夢の怪

2004/09/28

Mから電話があった。私が九州から東京に戻って丁度2週間目になる。
彼女は開口一番「ねぇ、またどこかに行くんじゃないの?」と確信ありげに聞いてきた。なんでも4~5日前に私の夢を見たと言うのだ。
私のザンバラ髪がくりんと整髪されて、旅行するのよーと張り切っていたそうだ。「またか!?」と気味が悪くなった。本当にその通りなのだから!
 先日(5日前)の教室で、クラスの数人と急遽大阪へ「生き人形展」を観に行く事に決め、どうせなら1泊して京都と神戸の人形店をまわろうという計画に至った。新幹線とホテルを格安で予約しようと、仲間と気忙しくやり取りしていたのである。そしてMから電話をもらった時も、まさに私は人形の顔にチークを被せながら、(自分の)頭の上がくっきり”プリン”になったこの髪をどうにかしたい~明日美容室に行けるかな~と心の中で唸っていたのだ。

~にしても所詮は夢。今回話してもらった予知夢のあらましは奇想天外だった。”Mは東京に来ていて、東西線らしき電車の終電だか始発だかに乗り遅れそうになり、彼女と私はダッシュして強引に電車に足を踏み入れたところ、それが何故か段ボール箱サイズに縮んでいて、まるで電車を踏みつぶしたウルトラマンだった”と言うのだ。違うだろー。そんな私らはヒーローではなく怪獣だ。(笑) わかった。愛娘をはやくディズニーランドに連れて行きたいんだな。そう焦るな、まだ赤ちゃんなんだから。

只、Mの予知夢というか、感知夢はこれが初めてではない。
お互い人にマメな性格ではないので、近年は半年以上音信不通も珍しくなかったが、さすがに遠方であれ、自分の展示会と人形が雑誌の表紙を飾った報告くらいはしようかとメールを送った事があった。だがそれから3~4日たってもMからの返信はなかった。そのかわりに間もなく留守電が入った。「夢を見ました。因間の個展と、人形が本になった夢ですー。最近どうしてますか~?」 私は呆れて、なに寝ぼけてんのと愚痴った。
彼女はずっとメールチェックを怠っていて、私のサイトも全然見ていないと言う。その点ではかなり薄情者だった。

これらはたまたま波長が合ったのだとしか言い様がない。
「念」を送ろうと頑張ったわけではない。
読心術ではない。夢なんだから。
だけど私が彼女の事を直接的ではないにしろ、度々思っていたのは確かだった。
阿蘇旅行を楽しんで来たばかりなのに、間を置かず関西ツアーなんて贅沢だとか。
阿蘇観光日記の続きを書かなくちゃとか。
人形師、松本喜三郎は熊本の人で、生き人形展は地元の開催だったんだとか、いろいろ。

人は否、万物はそれとはなしに念派を放出しているのだろうか? それを拾って漠然と感じてくれる誰かが何処かにいるのだろうか?
人形に生命を感じる人は、そこに流れる波動と同調しているのだろうか?
とにかく不思議だ。何故彼女は夢の中で私の今後の予定を感知するのだろう?

趣味が似ていて奇遇な事なら結構ある。
今回は、私が人形教室で使っている2種類の小皿が、サイズはひとまわり大きかったが、Mの家でも見事にそれと同じ2種の器が食卓に並んだのにはびっくりした。それぞれが地元の商店街で、量販とは言え、数ある中から選んで買った普段使いのシンプルな食器だった。また、私が東京からの手みやげ用に、ふと見かけて前日まで購入を悩んだ”万華鏡”と全く同じ物が(中身は微妙に違っているはずだが)既にM宅の居間の棚に置かれていた。最近夫婦でコレクションを始めていて、敢えておねだりするとしたら、”万華鏡”と喉元まで出かかっていたそうだ。結局赤ちゃんのお洋服にしてよかった~。同じのを買わなくて。(苦笑)

特に旧知の仲という程ではない。Mとはその昔ひとつだった魂の一部を共有しているのかもしれない。私は生まれ育ちは東京だけど血は純・九州人だし、あり得る(爆)。また、このまま一生出会う事がなくても、自分の人生と響いて行動している人たちが存在するかもしれない。・・・そんなメルヘンにひととき溺れてしまった。
 ~で、この際だからMにお願いしてみた。
今度は私のカッコイイ旦那サマと~可愛い赤ちゃんと~花に囲まれた豪邸の夢を見て~~♪と。
彼女は鼻で笑って、見ないねぇと言った!・・・フンッだ





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