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猛暑と冷え込んだ意志

2008/08/08

昨日、『瞳』創作ビスクドールの群像2(仮題)の刊行にあたり、マリア書房の編集長とライターの方から取材を受けた。
掲載してもらう写真を選ぼうと、テーブルに積んだ写真ファイルを3人でパラパラ眺めながら、当時の入魂ぶりを心の中で取り留めもなく回想した。
結局2003年発表の『鳩の翼』がメインでマルメゾンと寓話の栞紐の少年少女、そして2006年発表『ロココ』の少年インコを加えて掲載してもらう事になった。
でも、と言うだけ悲しいが、それなら04年刊行の初企画「創作ビスクドールの群像」に、是非ともリアルタイムで取り上げてもらいたかった!と嘆かずにはいられない。当時周りから何故あなたのが載ってないの?と聞かれるたびに結構辛かったが、世の中は色々と都合があるらしく、あの時は自腹で巻末の教室案内に食い込むのが精一杯だった。出版物の有無で作家生命は大きく左右される。不条理だが実物より写真でくだされる評価の方が絶大なのだった。そういう訳で皆様、機会があったら『瞳』no.7を見直して第2号に備えてね(^^)。


注)↑はコンパクト・デジカメで撮影。確かDMに使用した画像。
   懐かしい。。。

掲載予定の『鳩の翼』の写真は展示会の搬入直前に窓辺の自然光を頼りに撮ったものだ。まだニコンのF3でフィルム撮影をしていて、地味だけどポジ独特の雰囲気が出ている。少々難ありの素人写真でも、同出版社の『クラフトアート・人形』では毎回上手く補正してもらえたので安心している。しかし、作り手として5年も前の作品(写真)を特集で使用するというのは複雑な気持ちだ。もはやあの人形たちは過去の作品で、当時の目線で語るのも受け取ってもらうのも無理だから。やはり鮮度は大事だと切ない気持ちになった。
もちろん最近作の写真もあったのだけど、デビュー前にイメージを先行させたくないので妥当な選択だったと思う。「鳩の翼」は自分も気に入っている作品だし、彼等をもう一度皆様に見てもらえると思うとじんわりと嬉しい!
10月に出版の予定。きっと素敵な本にしてくれるでしょう。期待大です♪

身辺では創作人形の低迷が騒がれている。
この迷走はまだ暫く続くかな...とインタビューのコメントはついついシビアになった。
でも、私がビスクドール教室を開いた時点から遠からずこの飽和状態を向かえることを予想していたし、せめてクローン化現象が加速しないよう、アンチョコに逃走しないよう、独創と誠実の心得を口を尖らせてメンバーたちに唱えて来たつもり。

19世紀末、フランスで当初マネキンとして活躍したビスクドールはやがて高級な愛玩物として親しまれた。そして大衆に求められるままにドイツ(器用で合理的な別の人種)で大量生産が進み、小型化、多様化して巷に散って行った。結局平凡で味気ないビスクドール達は丈夫で安い新素材に役目を追われたのだ。現代、極東に生きる私達は僅か10年弱でビスクドール史をまるで縮図のように辿ってしまったのではないか?!
ビスクドールは今後本物の意志を持つ人たちに委ねられる。集団ヒステリーが収まって平常に戻ったのだ。
歴史は繰り返される。市場が落ち着いた今こそ原点にもどり、真に創りたかったものを形にしていく機会なのだと思っている。

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