前衛芸術家
2008/02/12
久しぶりに大学同期の友人と会い、おしゃべりをした。2人は美術の教師だ。学校(義務教育)という職場は、各教科の特性から職員の考え方や行動はかなり違うだろうし、世代の差も加われば、もう立派なプチ国家だ。一般的に芸術系は立場が弱い。その体制の中で公私を切り替えて多少でも絵を描き続けている同期たちにいつもながら感心してしまう。
渋谷のミニシアターでドキュメンタリー映画「草間彌生~わたし大好き~」をみた。前衛芸術家を名乗る草間さんは作品は然ることながらご本人も実にアッパレでいらっしゃる。多くの人が「芸術家」はこうだよね、こうでなきゃ!と彼女に暖かい眼差しを向けている。もちろん私も感動した。
制作風景、特大キャンバスに黒色のマーカーでテンポ良く淡々と描かれる図案を見ながら、私はゆる~り、とても懐かしい気持ちになった。これは落書きだ。。。例えば長電話している時にメモ帳に無心で描き足していくイタズラ描き。ほら、これと比べてよ♪ 天才とスケールの差は歴然でも、自分のメモを差し出したくなった。
無意識の快楽が国境や世代を越えて人々を惹き付けていたんだね。
大画面モノトーンの楽描きが50枚!ズラッと並んだら壮観だろうな~。でもそれは草間芸術のほんの一部に過ぎない。絶好調ですね?! 年齢を気にされているようだったから、私の母より年上!とだけバラそう。驚異的にパワフルです。
忘れていたよ、感覚だけで物づくりする事を。昔、美術の枠でどこまでも自由奔放でいられた学生時代は少なからず即興性を宿していた憶えがある。いや、むしろ得意だったはず。因にビスクドールは職人的行程が広範囲に及ぶので「創作」であっても感覚の発散は押し殺される。その代償として綺麗で手堅い安定感はあるのだが、それに慣らされてしまっては・・・いけない!
帰りにデパ地下の食品街で期間限定の栗きんとんを買った。正月は慎ましかったし、たまには家族でお茶をしようと奮発したのに・・・最上階のレストラン街の化粧室に菓子袋を置き忘れてそのまま紛失。わずか5分程度の出来事だった。
せっかく気持ちが豊かになったところで日本に裏切られた感じがした。
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