古典的美少女
2007/10/01
フランコ・ゼフィレッリ監督の映画「尼僧の恋」をご存じだろうか?
ゼフィレッリはヴィスコンティの弟子でもあった、オペラの舞台演出家で映画監督。だから美術背景や衣装等こだわりが随所に感じられ、溜め息が漏れるほどに上質だ。「ロミオとジュリエット」をはじめ、映画の中の歌のシーンは特に印象的。
「尼僧の恋/マリアの涙」は・・・
7~8歳で(たぶん継母の意向で)神の花嫁として修道院に送られた少女が年頃に成長し、ある夏里帰りをする。鉄格子から解き放たれた眩しい世界。美しい風景、人々の笑い声。異性。
華やかな夜会で、社交の場に戸惑いながら壁の花でいる彼女は、身内の悪戯で突然中央に引っ張り出され、歌う事を勧められる。躊躇いつつもおずおずと、細く清らかな声で賛美歌を唱いはじめる少女の姿が痛ましい。お願いだから彼女を救い出して! この場から。否、神の世界から!!
(映画は哀しくも美しいが、原作はかなり深く酷らしい。)
ゼフィレッリの映画に登場する乙女たちは皆琴線のように繊細で可憐だ。その瞳に吸い込まれて切ない気持ちにさせられる。お転婆な娘でも肩や首すじのラインがマドンナのようで見惚れてしまう。
そのままお人形にしたい乙女たち。
悲しまないように抱きしめて、髪を梳いて、服のひだを整えて・・・
きっとかまいたくなる。 20年経った現在でもやっぱりこれだ。
彼女たちのような人形がつくれたら!
と↑時たま来る発作的な憧憬を見送りながら、今はちょっと趣向を変えてダンサーの人形をつくっている。勢いでつくらないとまた暗礁に乗り上げる~~
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